緑と清流

「自然を楽しむ♪」 が活性化したらいいな

内を見て外を見てから内にアプローチ2~人生100年時代を生きるために~

 

 

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前の記事では、科学的手法を用いて研究を手掛けている中で、その過程で生じるデータ集め、データの単位の考え方も重要であることや、哲学やアートの重要性に気づかれ、精力的に取り入れる動きをされていたnoboruさん。その後「健康」に関心が移っていくのは、どのような経緯だったのでしょうか。


2-1.経験した体調不良
東京工業大学で教授になり、学部長などの役職やアートに触れる場を提供する世界文明センターを企画設立し、ディレクターとして多忙を極めた毎日を過ごす中で、体調が悪くなっていった。

大学の関係で毎年人間ドックを受けていた。行くたびに、血尿が出ているや胃も荒れているから診てもらった方が良いと言われ、病院へ行き、毎年胃カメラを飲むが「大丈夫でしょうね」の繰り返しだった。おじさんの大学病院で専門医やその友人に調べてもらうこともあったが、数年調べても結局原因は分からなかった。人間の体にはわからないことが多いといわれた。ついに大学の検診で最後には「大丈夫ですよ。こんなに血が出ているのに生きているから、悪い病気だったらとっくに死んでいます。」とお医者さんに言われる。

noboruさんの身体は何にもよくならないまま、どんどん悪くなって、下痢と便秘を繰り返すようになった。そこで漢方の針灸の先生に行くようになる。針灸はそれまでにやったことはなかったが、確かに針灸をしてから1週間は元気になるが、その後またすぐ良くなくなった。しばらく通っていたが針灸ばっかりに頼るのもどうかと思っていった。

その当時身体の状況はかなり悪かった。ドイツに滞在中、友人のドイツ人に人間のオーラが見えるという人がいて、その方に、「黒いものが出ていてオーラが少なく、早く医者に診てもらった方がいい」と言われた。noboruさんは相当ショックを受けて自身でも死ぬんではないかとも思った。痛いところはないものの、確かに症状的にも便秘と下痢が繰り返され止まらない。これは放っておいたらまずいのではないかと自身でも思った。

別の友人の友人が癌を自分で治したということを聞き、その方に連絡したところ、その方が色々探してくれて、野本先生を紹介してくれた。しかし、行くかどうかは相当悩み、3カ月くらい経ってしまってから意を決して行った。そこは快医学ということで、色々診断してもらい、漢方の処方を受けた。体調は相当悪かったようで癌の特効薬、蛇舌草(じゃぜつそう)やビワの葉を処方された。また他にも食生活の改善など色々と教えてもらえた。noboruさんには信じられなかったが、そこでの教えの通り実践したら体調は相当良くなっていった。そのまま身体は好転し、快医学に出会ってからはお医者さんに行かなくても済むようになっていった。
しかし、一時期noboruさんは、歯も自分で治せるものかと、自然治癒も大事にする歯医者さんと2年くらい試みたことがあったが、治すのは無理だった。結局歯もグラグラのままで、膿も出ているようなので、その歯医者に、一部の歯は抜いたり、その他は歯茎を固くさせたり整えてもらったりして治すことが出来た。その経験から、自分の力では治せないところもあると強く感じた。

2-2.少しでも誰かの役に立てばとの想い
人間ドックに通いつめれば毎年のある瞬間のデータを見てもらえるが、データを断片的に見ているだけである。科学的手法を用い研究を長年手がけ、さらにはデータの考え方も重要であると提唱していたnoboruさんにとっては、お医者さんのデータの見方はいい加減に思えてしまう。また西洋医学を信奉していた叔父が退職後「患者さんはみんな同じではない、そして、状況もどんどん変わるよね、だから実際は本当に難しいんだ」。叔父は有名な皮膚科の教授で道を究めた人ではいたが、人間の体が複雑で、分からないこともあることを教えてくれた。事例がいっぱいあれば、ある程度科学的に調べることが出来るが、特殊な病気の場合は例が少ない。叔父が話してくれたのは2例しかない病気の事例で、ある手法が上手くいったからそれを学会で発表したが、2例しかないから、本当にどうしようもなかった。科学的に判断しようとしているお医者さんですら、2例では科学的分析に限界があるということ、本音はそこにあることも忘れてはいけないと強く感じた。

一方、あまり知られていない快医学であるが、快医学の本を読み理論も学んで、これはもっと学んだ方がいいと思い4日間のセミナーを受けた。これは相当深いし、なんとなく正しいと思うのと、自分でやっても効果があったので、ワークショップを開き皆に教えるようになっていった。その後も、色んな人から色々情報をもらい、快医学以外でも、自分で実践してみて効果がありそうな事は、このワークショップで共有していっている。快医学とは、簡単に言うと中国の医学が根本にあって、漢方、さらには経絡などの教え、考え方があり、そこから派生した日本独自の考え方など色々あってごちゃまぜだが、それで十分。少しでも役に立てばいいと思い、理論にこだわる必要はないと思っているとnoboruさん。もしかしたら人によっては自分で治せる人もいるかもしれないが、みんながみんなそうではないので自然治癒や快医学も宗教みたいに信じてしまうのはまずいとも思っている。

最近はnoboruさんメンタルにも関心があり、それも無視してはいけないという。それは身体も精神も表裏一体であること。例えば、ボディつまり身体だけ鍛えると、精神も上手くいくかというとそう単純ではなくて、精神的なメンタルのことも無視してはいけない。ボディは比較的素直に反応してくれるが、精神的、エゴの部分はドロドロしている部分であり内側を鍛えるのがとても難しいので、メンタルとボディのつながり、それも学び自身の身体で実験を試している。常に色んな事を勉強、研究する目線でいるnoboruさん。自分の身体を使い実験して、効果のあるものを皆に伝えている。

人間みんな違うし、一人一人も年月を重ね変わっていくことを根底に据えて、自分自身の身体を観察し、必要な時は手当してあげるような、身体との意思疎通の重要性を伝え、少しでも誰かの役に立てばとの想いを込めて、身体コミュニケーションワークショップを開催している。

またnoboruさんは人生100年時代を生きるための知恵を皆と共有するために新しく BAAL メソッドも教えている。BAAL は Body(身体)を意識し(Aware)、共同創造のためのアート(Art)、と生きるための論理(Logic)を意味する。ここでは毎回、身体とのコミュニケーションを図ったあと、共同で Art 創造を行い、心を開き、毎日の生活を良りよく生きるために知っておくべき大切なロジックをやさしく学べる。この学校では毎日をよりよく生きる具体的な知恵を教えていて、例えば具体的にお金について、健康に良いといわれる食品や薬の効果についてなどを伝えていている。

前記事に書いた科学的手法を追求し得た様々な気づきと、自分自身でおこなう身体コミュニケーションが必要という気づきを合わせ、さらに日常生活で使える論理を伝えているBAAL メソッド、noboruさんだからこそ開ける学校だと思います。

理論と論理、万物

最後に、今回のインタビューで出てきたロジックや理論を、noboruさん監修のもと整理をしたいと思います。「理論(科学的思考)」とは、矛盾なく整理した理屈の体系でありますが、それで説明できない事柄も世の中には多くあります。その中には、「ロジック」論理でわかる部分もありますが、「ロジック」論理でわからない事柄も世の中には多くあります。アートは言語では伝えきれないことも含むので、ロジックでは表せない部分も含みます。世の中には「ロジック」論理でわからない「万物 宇宙 ユニバース」もあります。科学の時代と言われ、科学が絶対と考えられがちな世の中ですが、理論、そして論理ではわからないこともたくさんあるのです。
私はnoboruさんの全体の話をお伺いして、科学の次の段階は、分からないことも認識、考慮した中で、発展していく科学的思考の飛躍が起こるのではないかと思いました。まるで「0を発見した人類」のように、「科学的思考では表せないことを認識した科学」が、科学の幼稚な段階を次のステージに上げるのではないのでしょうか。